十稀の感想置き場

十稀が読んだもの、見たものの感想をつらつらと書いていきます。

保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手

※今回取り扱う作品は年齢制限のある作品です。当ブログ内では18禁要素を含む画像は取り扱いませんが、閲覧にはご注意ください。

保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手タイトル画面

 今回プレイしたのは、株式会社オメガビジョンのブランドCitrusより2020年11月27日に発売したCitrusとしての2作目にして『保健室のセンセー』シリーズ1作目に当たる作品『保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手』だ。

 

 本作は死してなおこの世に未練があるために現世にとどまってしまう『魂人』という存在と、その魂人の未練を無くしてあげることで自発的に、あるいは矛や幣(みてぐら)といった捕り物を使用し強制的に成仏を促すことを生業とする『送り人』というものが居るという世界観のお話。

 主人公である風見蒼空(かざみそら)は、幼少期に両親を亡くしており、親代わりを務めてくれた姉を過労で無くしてしまう。その際に姉が魂人になったことを目撃しており、姉を自分の手で幸せに送り返してあげることを目的として送り人となった。

 姉を探す旅の途中で出会った魂人のシロバナと共に、送り人の師匠と付き合いのある彩香女学園の理事長からの頼みで保健室の養護教諭という職に就くのだった。蒼空は養護教諭として働きながらも、相棒のシロバナと共に姉を探したり、学園で起こる様々な事件を解決したりする中でじっくりと過去と向き合っていく。
 というのが本作のざっくりとしたあらましである。

本作のテーマ

 「タンポポ花言葉は真心の愛、そして離別―」というキャッチコピーの語るように、本作は離別が話の中心となってくる。

 世界観からも察せる通り、死という概念を作中でも多く取り扱っている。

 しかし、シナリオライターの力量により、重たくなり過ぎず、とはいえありきたりになりすぎない絶妙なバランスを保っている。

 系統としては、死をドラマチックに演出して感動を取りに行くスタイルではなく、既に決定してしまった死と向き合うという構成と言ったらいいだろうか、そんな感じのスタイルになっている。

評価

 ADVの感想を書くときには『シナリオ』『画』『キャラクター』『実用性』『総合評価』で評価を書いていきたいと思っている。
 また、総合評価はそれまでの評価は踏まえるものの、各項目に含まれなかったもの(例えば値段に対する満足度等)も含めた評価をするため、必ずしもそれぞれの項目の平均値とは一致しない。(例えばフルプライスで買った「まいてつ」と500円セールで買った「まいてつ」では記事の内容は変わらないが、総合評価の評価点数は変わる。また、「見上げてごらん、夜空の星を」のようなサブヒロインを攻略できるアペンドが存在したがもう既に配布がされていない等、プレイすることが不可能なコンテンツがある場合、プレイヤーとしてのがっかり感も加味して評価はマイナスとなる。)

 ここからはネタバレも含まれて来るので閲覧される際は注意してもらいたい。

シナリオ

 先ほども述べたように構成が巧みでダレさせない。

 正直本作はビジュアルから入ったので正直面食らった。

 世界観に慣れない頃からちょいちょい場面転換と回想により飽きることなく世界観を説明してくれるのはとてもありがたかった。

 瑞海の件で終盤に向かうのかなと思いきやそこからさらに山があり、中々に長く楽しめた。

 主人公が言霊を使う流派というのを散々こすっておいたおかげで、最終盤の前世来世のくだりにも、説得力があったのも良かったと思う。

 未練があって立ち止まっていては次に進めない。『還る』は『孵る』なのだと。別れは悲しいばかりじゃなく、歪な関係からより良い形で再開するため、生きるために死ぬのだと。そういったことを強く訴えかけたいというのが伝わってきた。
 (余談だが個人的には崩壊スターレイルのピノコニーの章が実装された時期だったので、「生きるために死ぬのだ」なんてセリフが被ることある?と思いながら読んでいた。)

 実用目的でプレイし始めて不意打ち気味に良いシナリオを食らってしまったので泣きはしなかったが、十分泣きゲーとしてのポテンシャルはあるように思えた。

 しかし、逆にこのシナリオならエロシーンが邪魔だなという印象をエロ下に対して初めて抱いた。

 基本的にエロシーンなんてあればお得じゃんと思うタイプなのだが、いかんせん配置というかバランスが悪いし、差し込まれるポイントもちょっと他ゲーに比べて分かり難い。
 『リトルバスターズ』小毬ルートBADや『9-nine-』、『わんことくらそう』のように、シナリオにおいてエロシーンがそこそこ重要な描写を担っているわけでもなく、シーン自体には実用性はあるものの、流れの中にあると邪魔に感じるというただ敬遠されるだけの存在になってしまっている感じがした。

 『まいてつ』のように開放システムで見たい人だけ見に行けるシステムでもよかったのではないかと個人的には思った。

 4000円代という値段も考慮すると評価は「90/100点」といったところだろう。

 

 イラスト、構図共に良い。


 ヒロインもかわいいし、シーンだけで切り取るなら実用性も十分、というかマニアックめな性癖にも対応していて大分良かった。

 しかし、一方で重要なサブキャラクターの立ち絵がちょいちょい無いのが残念。

 評価としては「75/100点」といったところだろう。 

 

キャラクター

 メインヒロインはかなりかわいい。

メインヒロインのシロバナ

 少々口が悪く、描写の仕方を間違えばウザいと思われ嫌われかねないキャラを、うまくかわいらしいと思えるレベルで描いていると感じた。

 ビジュアルの設定されてないキャラも含めて、サブキャラクターもそれぞれに個性があり魅力的であり、それぞれの人物なりの物語というものを大切にしているなという印象を受けた。

 特に四季彩の里に泊まっている送り人の山なんとかさんの境遇とか心理描写まで出すのは個人的にかなり好きな演出だった。

 「人はそれぞれ正義があって争い合うことは仕方ないかもしれない、だけど僕の嫌いな彼も彼なりの理由があると思うんだ」ってドラゲナイの姿勢、かなり良いと思うし好きです。

 4000円代というのもあり、ヒロインはシロバナ一人の1本道であり、魅力的なキャラが多数いるものの彼女らの攻略は不可能。(現時点で校医のオトヒメ、理事長の娘の月森 鈴がヒロインの作品が「保健室のセンセー」シリーズとして同価格帯で出ているためそういう意味では彼女らの攻略も可能。しかし今回はシリーズとしての評価ではなく単体での評価としたいためこれらは評価に影響しないものとする。)

校医のオトヒメ

理事長の娘月森鈴


 以上のことから評価としては「80/100点」としておきたい。

 (筆者の趣味的には95は出したいものの、ロリコン以外には全く刺さらなそうなのでこのくらいが妥当かと、逆に言えばこれを読んでいるあなたがシロバナのビジュアルを好きになったなら95点は出してくると思ってもらって構わない)

 

実用性

 思いの外高い。

 確かにシナリオの中では正直バランス悪いとかちょっと邪魔だな今来るのとか思った場面はあったものの、4000円代ヒロイン一人という点が長所になっている。

 Hシーンの数は7シーン。例えばゆずソフトやまどそふとのメイン級ヒロインのHシーン数が大体4前後なことを考えると1人に対してのシーン量は圧倒的に多い。

 プレイ内容もノーマルなものから、やり手水(放尿羞恥プレイ)、69、お医者さんごっこプレイなど多彩である。

 シーン鑑賞から見る限り、Hシーン関連のCGは15枚あり、それぞれに差分が4~11枚程度ある。

 評価としては「95/100点」としておきたい。(もちろんシロバナというヒロインが気に入っている前提の話であり、もし読者がシロバナが気に入らないとか実年齢はさておきロリでは抜けない人の場合、あるいは精神も肉体もロリなガチなやつでしか抜けない本物の場合はこの項目は0点であると思ってもらって構わない)

総合評価

 シナリオ「90点」

 画「75点」

 キャラクター「80点」

 実用性「95点」

総合評価「85/100点」

まとめ

 今回は「保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手」の感想と評価を書いてきた。

 今後もこのような形でプレイしたゲームや読んだ本を当時の自分がどう感じてどう評価したのかを残しておくために記載していきたい。

 時間と金銭面に余裕ができれば「保健室のセンセーとゴスロリの校医」もプレイしたいところだ。